- AIの答えがイマイチなのは、あなたのせいでも性能のせいでもなく“伝え方”です。指示(プロンプト)を少し整えるだけで、同じAIでも回答の質が大きく変わります。
- 精度が上がる指示には共通の「型」があります。①役割 ②目的 ③前提(文脈)④入力 ⑤出力形式の5つの部品を、この順で書くのが基本です。
- 難しく考えず、まずはコピペできるテンプレートに、自分の業務の言葉を当てはめるだけでOK。この記事にメール・議事録・SNSの記入例を載せました。
- さらに精度を上げるコツは「具体的に書く/大きな仕事は分ける/お手本を見せる/一発で決めず対話で直す」の4つ(OpenAI公式の考え方)。
- 注意点はひとつだけ。顧客名簿やパスワードなどの秘密情報は貼り付けない——ここだけ守れば安心です。
「ChatGPTに聞いてみたけど、なんだかピントのずれた答えが返ってくる」「結局、自分で書き直すことになる」——生成AIを使い始めた中小企業の方から、いちばんよく聞くお悩みです。じつはこれ、AIの性能が低いわけでも、あなたの使い方が下手なわけでもありません。多くは「指示(プロンプト)の書き方」を少し整えるだけで解決します。
プロンプトとは、AIへの指示文・お願いの文章のこと。人に仕事を頼むときと同じで、「誰に・何を・どんな形で」を伝えるほど、返ってくるものは的確になります。この記事では、専門知識ゼロでも今日から使える指示の“型”と、そのままコピペで使えるテンプレートを、静岡県長泉町のOffice Nがやさしく解説します。
なぜ「指示の書き方」で答えが変わるのか

AIは、あなたが打ち込んだ文章だけを手がかりに答えを作ります。あなたの頭の中にある「本当はこうしてほしい」という前提は、書かなければ伝わりません。たとえば新人スタッフに「あれ、いい感じにやっといて」と頼んでも困らせてしまうのと同じで、言葉にしていない条件はAIも読み取れないのです。
逆に言えば、頼み方を整えるだけで、同じAI・同じ料金のまま、成果物の質が上がります。特別なツールも追加費用もいりません。まずは「精度が上がる5つの部品」から見ていきましょう。
精度が上がる「5つの部品」
良い指示には共通の構造があります。次の5つを意識するだけで、初心者でもぐっと精度が上がります。全部を毎回入れる必要はありませんが、①役割 → ②目的 → ③前提 → ④入力 → ⑤出力形式の順に並べるのが基本形です。
| 部品 | 何を書く? | 書き方の例 |
|---|---|---|
| ①役割 | AIにどんな立場になってほしいか | 「あなたは中小企業向けの営業サポート担当です」 |
| ②目的 | 最終的に何がほしいか・何のためか | 「初めての取引先へ送る、丁寧なお礼メールを作りたい」 |
| ③前提(文脈) | 相手・状況・自社の背景など | 「相手は建設業の社長。先日、見積もりを送った段階です」 |
| ④入力 | 元にしてほしい材料(本文・箇条書き・データ) | 「以下がメモです:◯◯◯…」 |
| ⑤出力形式 | どんな形・長さ・トーンで返すか | 「300字程度/敬語/件名も付けて/2案ください」 |
「役割から先に決める」書き方は、日本で広く知られる“深津式”と呼ばれるやり方とも共通しています。最初に立場(役割)を与え、そのあとに条件を伝えることで、意図に沿った答えが返りやすくなります。
そのままコピペで使える基本テンプレート

まずはこの“空欄うめ”テンプレートを、ChatGPTやGeminiにそのまま貼り付けてみてください。〔 〕を自分の言葉に置き換えるだけです。
- あなたは〔役割:例)中小企業向けの事務サポート担当〕です。
- 次の目的で文章を作ってください:〔目的:例)取引先へのお礼メールを書きたい〕。
- 前提はこちらです:〔相手・状況・背景〕。
- 以下の材料をもとにしてください:〔メモや箇条書き〕。
- 出力の条件:〔文字数・トーン・形式(箇条書き/表など)・案の数〕。
- わかりにくい点があれば、作る前に質問してください。
最後の一文「作る前に質問してください」は地味ですが効果的です。情報が足りないときにAIが勝手に決めつけず、確認してくれるようになります。
“あるある業務”別・記入例3つ
1. 取引先へのメール返信の下書き
- あなたは丁寧なビジネスメールが得意な事務担当です。
- 目的:取引先からの値下げ相談に、角を立てずお断りする返信を作りたい。
- 前提:相手は長年の取引先。今回は原価が上がっていて応じられません。関係は続けたい。
- 材料:先方メールの要点=「単価を1割下げてほしい」。
- 出力:300字程度/敬語/代替案(数量まとめ発注なら調整可)を一言添える/件名つき/2案。
2. 会議メモから議事録・ToDoを作る
- あなたは会議の記録係です。
- 目的:走り書きメモを、読みやすい議事録に整えたい。
- 材料:以下がメモです〔箇条書きを貼り付け〕。
- 出力:①決まったこと ②保留・持ち帰り ③担当と期限つきToDo、の3見出しで/箇条書き/事実だけ(推測で補わない)。
※録音からの文字起こしを含めた自動化の手順は、生成AIで議事録・要約を自動化する始め方で詳しく解説しています。
3. SNS・お知らせ投稿の案出し
- あなたは地域の中小企業のSNS担当です。
- 目的:新サービスのお知らせ投稿を作りたい。
- 前提:読者は地元の経営者。堅すぎず、宣伝くさくしたくない。
- 材料:サービス概要〔3行で〕。
- 出力:120字以内/親しみやすい敬語/絵文字ひかえめ/ハッシュタグ3つ/3案。
もっと精度を上げる4つのコツ

ここからは、慣れてきた人向けの“ひと押し”です。いずれもOpenAI(ChatGPTの開発元)が公式に案内しているコツで、難しいことはありません。
- ① できるだけ具体的に書く。「良い感じに」ではなく「誰向けに・何文字で・どんなトーンで」まで指定するほど、狙いどおりになります。
- ② 大きな仕事は小さく分ける。「企画をまるごと作って」より、「まず現状を整理→次に課題→最後に改善案」と段階に分けたほうが、精度が上がります。
- ③ お手本(例)を見せる。「こういう文体で」と過去の良い例を1つ貼ると、AIはそれをまねて仕上げてくれます。
- ④ 一発で決めず、対話で直す。返ってきた答えに「もっと短く」「もう少しやわらかく」と追記して育てるのが、プロの使い方です。最初から完璧を狙わなくて大丈夫。
特に④は重要です。プロンプトは“一発勝負”ではなく、会話しながら少しずつ理想に近づけていくもの——OpenAIも「まず試し、結果を見て言葉を足したり削ったりして磨いていく」ことを勧めています。
ひとつだけ守りたい注意点:秘密情報は貼らない
便利さの一方で、気をつけたいのが情報の扱いです。顧客名簿・個人情報・パスワード・未公開の社外秘などは、AIのチャット欄に貼り付けないのが原則。設定や契約プランによっては、入力内容が学習などに使われる可能性があるためです。国のAI事業者向けガイドラインでも、業務利用時の情報管理に注意するよう示されています。
「どこまでOK?」を社内で線引きしておくと安心です。無料で作れるルールのひな形は、中小企業のための生成AI「社内ルール」の作り方にまとめています。
まとめ:まずはテンプレに“自分の言葉”を当てはめよう
プロンプトのコツは、才能でもセンスでもなく“型”を知っているかどうかです。①役割 ②目的 ③前提 ④入力 ⑤出力形式——この順で書く。迷ったら、この記事のテンプレートに自分の業務を当てはめる。それだけで、AIはぐっと頼れる“同僚”になります。
「うちの業務だと、どんな指示にすればいい?」——具体的な使いどころのご相談は、Office Nが無料でお受けします。今日の一歩を、明日の時短につなげましょう。
出典・参考(一次情報)
- OpenAI「Best practices for prompt engineering with the OpenAI API」OpenAI Help Center(2026-07-10閲覧)
https://help.openai.com/en/articles/6654000-best-practices-for-prompt-engineering-with-the-openai-api - OpenAI「Prompt engineering best practices for ChatGPT」OpenAI Help Center(2026-07-10閲覧)
https://help.openai.com/en/articles/10032626-prompt-engineering-best-practices-for-chatgpt - 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」(生成AIの業務利用における情報管理の考え方の参考)
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