この記事の要点(30秒でわかる)
  • AIの答えがイマイチなのは、あなたのせいでも性能のせいでもなく“伝え方”です。指示(プロンプト)を少し整えるだけで、同じAIでも回答の質が大きく変わります。
  • 精度が上がる指示には共通の「型」があります。①役割 ②目的 ③前提(文脈)④入力 ⑤出力形式の5つの部品を、この順で書くのが基本です。
  • 難しく考えず、まずはコピペできるテンプレートに、自分の業務の言葉を当てはめるだけでOK。この記事にメール・議事録・SNSの記入例を載せました。
  • さらに精度を上げるコツは「具体的に書く/大きな仕事は分ける/お手本を見せる/一発で決めず対話で直す」の4つ(OpenAI公式の考え方)。
  • 注意点はひとつだけ。顧客名簿やパスワードなどの秘密情報は貼り付けない——ここだけ守れば安心です。

「ChatGPTに聞いてみたけど、なんだかピントのずれた答えが返ってくる」「結局、自分で書き直すことになる」——生成AIを使い始めた中小企業の方から、いちばんよく聞くお悩みです。じつはこれ、AIの性能が低いわけでも、あなたの使い方が下手なわけでもありません。多くは「指示(プロンプト)の書き方」を少し整えるだけで解決します。

プロンプトとは、AIへの指示文・お願いの文章のこと。人に仕事を頼むときと同じで、「誰に・何を・どんな形で」を伝えるほど、返ってくるものは的確になります。この記事では、専門知識ゼロでも今日から使える指示の“型”と、そのままコピペで使えるテンプレートを、静岡県長泉町のOffice Nがやさしく解説します。

なぜ「指示の書き方」で答えが変わるのか

ノートパソコンのキーボードを打つ手元。AIにお願いを入力・送信する場面

AIは、あなたが打ち込んだ文章だけを手がかりに答えを作ります。あなたの頭の中にある「本当はこうしてほしい」という前提は、書かなければ伝わりません。たとえば新人スタッフに「あれ、いい感じにやっといて」と頼んでも困らせてしまうのと同じで、言葉にしていない条件はAIも読み取れないのです。

逆に言えば、頼み方を整えるだけで、同じAI・同じ料金のまま、成果物の質が上がります。特別なツールも追加費用もいりません。まずは「精度が上がる5つの部品」から見ていきましょう。

精度が上がる「5つの部品」

良い指示には共通の構造があります。次の5つを意識するだけで、初心者でもぐっと精度が上がります。全部を毎回入れる必要はありませんが、①役割 → ②目的 → ③前提 → ④入力 → ⑤出力形式の順に並べるのが基本形です。

部品 何を書く? 書き方の例
①役割 AIにどんな立場になってほしいか 「あなたは中小企業向けの営業サポート担当です」
②目的 最終的に何がほしいか・何のためか 「初めての取引先へ送る、丁寧なお礼メールを作りたい」
③前提(文脈) 相手・状況・自社の背景など 「相手は建設業の社長。先日、見積もりを送った段階です」
④入力 元にしてほしい材料(本文・箇条書き・データ) 「以下がメモです:◯◯◯…」
⑤出力形式 どんな形・長さ・トーンで返すか 「300字程度/敬語/件名も付けて/2案ください」

「役割から先に決める」書き方は、日本で広く知られる“深津式”と呼ばれるやり方とも共通しています。最初に立場(役割)を与え、そのあとに条件を伝えることで、意図に沿った答えが返りやすくなります。

そのままコピペで使える基本テンプレート

ノートパソコンの横で開いたノートにペンでメモを書き込む黒シャツのアジア系男性

まずはこの“空欄うめ”テンプレートを、ChatGPTやGeminiにそのまま貼り付けてみてください。〔 〕を自分の言葉に置き換えるだけです。

基本テンプレート(コピペ用)
  • あなたは〔役割:例)中小企業向けの事務サポート担当〕です。
  • 次の目的で文章を作ってください:〔目的:例)取引先へのお礼メールを書きたい〕。
  • 前提はこちらです:〔相手・状況・背景〕。
  • 以下の材料をもとにしてください:〔メモや箇条書き〕。
  • 出力の条件:〔文字数・トーン・形式(箇条書き/表など)・案の数〕。
  • わかりにくい点があれば、作る前に質問してください。

最後の一文「作る前に質問してください」は地味ですが効果的です。情報が足りないときにAIが勝手に決めつけず、確認してくれるようになります。

“あるある業務”別・記入例3つ

1. 取引先へのメール返信の下書き

  • あなたは丁寧なビジネスメールが得意な事務担当です。
  • 目的:取引先からの値下げ相談に、角を立てずお断りする返信を作りたい。
  • 前提:相手は長年の取引先。今回は原価が上がっていて応じられません。関係は続けたい。
  • 材料:先方メールの要点=「単価を1割下げてほしい」。
  • 出力:300字程度/敬語/代替案(数量まとめ発注なら調整可)を一言添える/件名つき/2案。

2. 会議メモから議事録・ToDoを作る

  • あなたは会議の記録係です。
  • 目的:走り書きメモを、読みやすい議事録に整えたい。
  • 材料:以下がメモです〔箇条書きを貼り付け〕。
  • 出力:①決まったこと ②保留・持ち帰り ③担当と期限つきToDo、の3見出しで/箇条書き/事実だけ(推測で補わない)。

※録音からの文字起こしを含めた自動化の手順は、生成AIで議事録・要約を自動化する始め方で詳しく解説しています。

3. SNS・お知らせ投稿の案出し

  • あなたは地域の中小企業のSNS担当です。
  • 目的:新サービスのお知らせ投稿を作りたい。
  • 前提:読者は地元の経営者。堅すぎず、宣伝くさくしたくない。
  • 材料:サービス概要〔3行で〕。
  • 出力:120字以内/親しみやすい敬語/絵文字ひかえめ/ハッシュタグ3つ/3案。

もっと精度を上げる4つのコツ

オフィスでフリップチャートの折れ線グラフをペンで指し示しながら説明するジャケット姿のアジア系女性

ここからは、慣れてきた人向けの“ひと押し”です。いずれもOpenAI(ChatGPTの開発元)が公式に案内しているコツで、難しいことはありません。

特に④は重要です。プロンプトは“一発勝負”ではなく、会話しながら少しずつ理想に近づけていくもの——OpenAIも「まず試し、結果を見て言葉を足したり削ったりして磨いていく」ことを勧めています。

ひとつだけ守りたい注意点:秘密情報は貼らない

便利さの一方で、気をつけたいのが情報の扱いです。顧客名簿・個人情報・パスワード・未公開の社外秘などは、AIのチャット欄に貼り付けないのが原則。設定や契約プランによっては、入力内容が学習などに使われる可能性があるためです。国のAI事業者向けガイドラインでも、業務利用時の情報管理に注意するよう示されています。

「どこまでOK?」を社内で線引きしておくと安心です。無料で作れるルールのひな形は、中小企業のための生成AI「社内ルール」の作り方にまとめています。

まとめ:まずはテンプレに“自分の言葉”を当てはめよう

プロンプトのコツは、才能でもセンスでもなく“型”を知っているかどうかです。①役割 ②目的 ③前提 ④入力 ⑤出力形式——この順で書く。迷ったら、この記事のテンプレートに自分の業務を当てはめる。それだけで、AIはぐっと頼れる“同僚”になります。

「うちの業務だと、どんな指示にすればいい?」——具体的な使いどころのご相談は、Office Nが無料でお受けします。今日の一歩を、明日の時短につなげましょう。

出典・参考(一次情報)

  • OpenAI「Best practices for prompt engineering with the OpenAI API」OpenAI Help Center(2026-07-10閲覧)
    https://help.openai.com/en/articles/6654000-best-practices-for-prompt-engineering-with-the-openai-api
  • OpenAI「Prompt engineering best practices for ChatGPT」OpenAI Help Center(2026-07-10閲覧)
    https://help.openai.com/en/articles/10032626-prompt-engineering-best-practices-for-chatgpt
  • 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」(生成AIの業務利用における情報管理の考え方の参考)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的・契約上の助言ではありません。利用する各AIサービスの最新の利用規約・データの取り扱いも必ずご確認ください。

よくある質問

Q. プロンプトって、そもそも何ですか?
A. AI(ChatGPTなど)への指示文・お願いの文章のことです。書き方次第で返ってくる答えの質が変わります。人に仕事を頼むときと同じで、「誰に・何を・どんな形で」を伝えるほど的確になります。
Q. 長い指示と短い指示、どちらがいいですか?
A. 必要な条件がそろっていれば、必ずしも長くなくて構いません。大切なのは長さより“具体性”です。役割・目的・前提・出力形式など、答えに影響する部分を落とさないことがポイントです。
Q. 最初の答えがイマイチなときは?
A. 作り直させる必要はありません。同じ会話の中で「もっと短く」「もう少しやわらかい表現で」「箇条書きにして」と追記して直していくのがコツです。対話しながら育てるのがプロの使い方です。
Q. ChatGPTとGeminiで書き方は変わりますか?
A. 基本の5つの部品(役割・目的・前提・入力・出力形式)はどのAIでも共通して有効です。細かな得意分野は違いますが、まずは同じ型で試して問題ありません。
Q. 入力してはいけない情報はありますか?
A. 顧客名簿・個人情報・パスワード・未公開の社外秘などは貼り付けないのが原則です。社内で扱いのルールを決めておくと安心です。
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