- Googleの検索結果の一番上に出る「AIによる概要」(AI要約)で、ホームページへのクリックは大きく減りました。米Ahrefsの推計では、AI要約がある検索で1位のクリック率は約58%低いとされています。
- 一方、米Seer Interactiveが53ブランド・約24億回の表示データを分析した2026年の報告では、下がり続けていたクリック率が2025年12月の1.3%を底に、2026年2月は2.4%へ戻りました。
- 分かれ目は「AI要約の中に自社の名前とリンクが載るか」。載った場合のクリックは載らない場合の約2.2倍でした。Office Nは、中小企業が今月見ておきたい5つのことを提案します。
「検索で上位なのに、ホームページへのアクセスが減った」——2024年以降、こうした声が増えました。原因としてよく挙がるのが、Googleの検索結果の一番上にAIが答えをまとめて表示する「AIによる概要」(英語ではAI Overviews。この記事では「AI要約」と呼びます)です。答えが検索画面で読めてしまうので、サイトまで来る人が減る、という仕組みです(基本は当メディアの「ゼロクリック検索」の解説記事で解説しています)。
では、その影響は今も広がり続けているのでしょうか。この記事では、米国のSEO(検索対策)会社2社が公表した最新の調査と、Googleの公式ガイドを読み比べ、①どれだけ減ったのか、②2026年に何が変わったのか、③どんな会社・どんなページが影響を受けやすいのかを整理します。数字はすべて2026年9月27日に各社の公表ページの原文で確認したものです。なお、いずれも米国・英語圏の検索を中心としたデータで、日本の検索や個々の会社にそのまま当てはまるとは限りません。
① AI要約で、クリックはどれだけ減ったのか

SEOツール大手の米Ahrefsは、AI要約が出る検索と出ない検索それぞれ15万キーワードについて、検索1位のページがクリックされる割合(クリック率)を、2023年12月(AI要約の導入前)と2025年12月で比べました。
AI要約が出るようになった検索では、1位のクリック率が7.3%から1.6%へ。AI要約が出ない情報検索でも7.6%から3.9%へ下がっていました。Ahrefsは、AI要約が出ない検索の下がり分を差し引いたうえで、AI要約があることで1位のクリック率は58%低くなっていると推計しています。2025年4月の同社調査では34.5%だったので、影響は大きくなったことになります。
Seer Interactiveの集計でも、情報を調べる検索でAI要約が出て、自社がその中で引用されなかった場合のクリック率は、2025年の1年間で67%低下しました。100万回表示されるごとに、約1万3,000回のクリックが失われた計算です。
② 2026年、下がり続けていたクリック率が戻った

ところが、2026年に入って流れが変わりました。Seer Interactiveが2026年4月に公表した第3弾の報告(2025年1月〜2026年2月の実績、53ブランド・547万検索語・約24億3,000万回の表示)によると、AI要約が出る検索のクリック率は、2025年12月の1.3%を底に、2026年2月は2.4%まで戻りました(約85%の戻り)。
同社は2025年のデータから「2026年も下がり続ける」と予測していましたが、1月・2月の実績は、情報を調べる検索と購入・申込の検索のすべての区分で予測を上回りました。AI要約が出ない検索のクリック率も、2025年1月の2.8%から2026年2月の3.8%へ上がっています。
ただしSeer自身は、2か月分のデータだけで回復を見込むべきではないとし、AI要約が当たり前になった後の「新しい平常」に落ち着きつつある段階とみています。導入前のクリック率に戻るわけではない、という点は押さえておく必要があります。
③ 分かれ目は「AI要約に名前が載るか」——クリックは約2.2倍

Seerの報告で最も実務に役立つのが、この比較です。情報を調べる検索で100万回表示された場合のクリック数は、次のとおりでした。
- AI要約が出ない検索:約33,500回
- AI要約が出て、自社が引用された(名前とリンクが載った):約20,743回
- AI要約が出て、自社は引用されなかった:約9,445回
引用された場合は、引用されなかった場合より1表示あたりのクリックが120%多い(約2.2倍)。Seerは、AI要約が出る検索では引用されることが最も有利な位置で、2025年のどの月でも引用ありが引用なしを上回ったとしています。一方で、AI要約が出ない検索と比べると約38%少なく、同社は引用されても導入前の水準に戻るわけではないと注意しています。
AIに引用されやすいページの特徴は、当メディアの「AIに引用される会社と、されない会社の違い」でも取り上げています。
④ AI要約が出やすい検索、出にくい検索

AI要約はすべての検索に出るわけではありません。Seerの集計では、情報を調べる検索の36%にAI要約が出た一方、比較・検討の検索(原文のcommercial)は8%、購入・申込の検索(原文のtransactional)は5%にとどまりました。約7倍の差です。
情報を調べる検索の中でも、言葉の形で差があります。「AとBの違い」のような比較の検索は95.4%、「〜とは」「なぜ」のような質問の検索は85.9%でAI要約が出ました。地図や地域情報が出やすい「近くの〜」を含む情報検索でも76.9%、1語だけの検索でも27.3%です。
つまり、「〜とは」「〜の違い」「〜の選び方」のような解説記事で集客してきた会社ほど影響を受けやすく、「地域名+業種で依頼先を探す」「商品を買う・申し込む」といった検索は、現時点では比較的影響が小さいと読めます。ただしSeerは、AI要約が出ていない比較・検討の検索でもクリック率が下がっており、AI要約以外の要因もあると指摘しています。
⑤ 「クリック率が下がった=悪化」とは限らない

Seerの報告には、数字の読み方についての大事な教訓もあります。自社が引用された検索のクリック率は、2025年10月に1か月で52.1%下がりました。一見すると大きな悪化です。
ところが中身を見ると、クリック数は9月の約39.8万回から10月の約40.0万回へほぼ横ばいで、表示回数が約1,580万回から約3,310万回へ2倍以上に増えていただけでした。割り算の分母(表示回数)だけが増えたため、クリック率が下がって見えたのです。Seerは、引用される検索が増えた可能性があるものの、原因は個別の調査なしには特定できないとしています。なお、翌11月はクリック数も約30.2万回に減っており、「下がって見えるだけ」の月と「本当に減った」月の両方があることがわかります。
Seerの結論は、クリック率だけで判断せず、表示回数とクリック数を別々に見ること。自社のデータで確かめる方法は、Search Consoleの見方の記事で紹介しています。
⑥ Googleの公式ガイドは何と言っているか

Google自身は、検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」(最終更新 2025年12月31日)で、「AI による概要や AI モードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」と説明しています。AI機能に表示されるために、新しいファイルやマークアップ、特別な構造化データを追加する必要もないとしています。
また同ページでは、「AI による概要が表示される検索結果ページからのクリックは、より質が高いことが確認されています」とし、その理由をユーザーがサイトに長く滞在する傾向があるためと説明しています。これはGoogle側の説明で、第三者の調査が示すクリック数の減少とは別の論点です。両方を並べて読むと、「来る人は減りやすいが、来た人はじっくり読む可能性がある」という姿が浮かびます。
「特別な対策は要らない」という点は、裏を返せば「わかりやすく、信頼できる内容を、きちんと検索に載る形で出す」という基本がそのまま効くということです。AI検索向けの専用ファイルについてのGoogleの見解は「llms.txtを置けばAIに載る」は本当?にまとめています。
⑦ Office Nの見方:中小企業が今月見ておきたい5つのこと

ここからはOffice Nの見解・提案です。今回の調査は米国の大手ブランドのデータですが、「AI要約の有無」「引用の有無」「検索の目的」でクリックの出方が大きく変わるという構造は、中小企業のホームページにも当てはめて点検できます。
- 表示回数とクリック数を「別々に」見る——Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」で、前年同月と比べます。クリック率だけで一喜一憂しないことが、Seerの報告から得られる一番の教訓です。
- 「会社名・商品名」での検索を確かめる——自社名で検索し、AI要約や1ページ目に、正しい住所・電話・サービス内容が出ているかを見ます。
- 「〜とは」「〜の違い」のページは、引用されることを狙う——冒頭に答えを短く書き、出典・更新日・書き手(会社名)を明記します。AI要約が出やすい形の検索では、「引用されるか」が最大の分かれ目です。
- AI要約が出にくい「相談・申込」のページを磨く——料金の目安、対応地域、事例、問い合わせまでの導線を具体的にします。依頼先を探す人が最後に見るページです。
- 月1回、主な検索語で画面を記録する——AI要約が出るか、自社が引用されるかをスクリーンショットで残すと、アクセスの増減の理由を後から説明できます。
AI要約の登場で、「検索で上位に出る」ことの価値は変わりました。ただ、2026年のデータが示したのは「すべてが失われる」ではなく、「選ばれる会社と選ばれない会社の差が開く」という姿です。まずは自社の数字を、分けて見るところから始めてみてください。
出典・参考資料
※⑦の5つのことはOffice Nの見解・提案です。クリック率・クリック数は各社が公表した集計(米国・英語圏中心、Seerは53ブランド・Ahrefsは15万キーワード×2群)で、業種・地域・検索語によって大きく異なります。自社の数字はSearch Consoleなどでご確認ください。
- Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」(2026年4月24日)
https://www.seerinteractive.com/insights/aio-impact-on-google-ctr-2026-update - Ahrefs「Update: AI Overviews Reduce Clicks by 58%」(2026年2月4日公開)
https://ahrefs.com/blog/ai-overviews-reduce-clicks-update/ - Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」(最終更新 2025年12月31日)
https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features?hl=ja
