- 終わったのは「FAQのQ&A表示」だけ。Google公式の更新履歴に、よくある質問のリッチリザルトは2026年5月7日をもって検索結果に表示されなくなったと明記されています(6月には公式ドキュメントも削除)。
- AI検索のために構造化データは「必須ではない」。Googleは公式ガイドでそう述べたうえで、「リッチリザルトの対象となる助けとなるため、引き続き使用することをおすすめします」とも書いています。
- 中小企業サイトが今も入れる価値があるのは3つ。Organization(会社)・LocalBusiness(店舗)・Article+パンくず(記事)。とくに店舗や事業所がある会社は効きどころです。
- やってはいけないこともはっきりしています。読む人に見えない情報のマークアップ、荷札のためだけの空ページ、内容と合わない型、虚偽のクチコミ——公式ガイドラインで禁じられています。
検索結果で、質問と答えがアコーディオンのように並んで表示される——あの「よくある質問」の見た目を、 覚えている方も多いと思います。SEOの世界では長らく「FAQの構造化データを入れると検索結果が目立つ」と言われ、 実際に多くのサイトが導入してきました。
その表示が、2026年5月7日をもって、Google検索から消えました。しかも同じ2026年、Googleは 「生成AI検索に構造化データは必須ではありません」とも公式に明記しています。
——では、構造化データはもう入れなくていいのでしょうか。結論から言うと、そうではありません。 終わったのは「ある1つの飾り」であって、仕組み全体ではないからです。この記事では、静岡県長泉町のOffice Nが、 Google 検索セントラル(公式)の一次情報を実際に確認したうえで、 「本当に終わったこと」「今も残っていること」「中小企業が今日やる価値があること」を仕分けます。 事実(Googleの公表内容)とOffice Nの見解(考察)は、はっきり分けてお伝えします。
そもそも構造化データとは? 機械に渡す“荷札”のこと
まず前提を、専門用語なしで整理します。構造化データとは、ページの中の情報に「これは社名」「これは住所」 「これは営業時間」という“荷札”を付けておく仕組みです。
人間は、ページに「静岡県富士市○○ 1-2-3」と書いてあれば、前後の文脈から「あ、これは住所だな」と分かります。 でもコンピュータには、それが住所なのか、商品名なのか、単なる文字列なのかが分かりにくい。そこで、 機械が読むための印を、ページの中に一緒に置いておく——それが構造化データです。
書き方はいくつかありますが、GoogleはJSON-LDという形式を推奨しています。ページのHTMLの中に、 機械向けの小さなデータのかたまりを埋め込む方式です(Google 検索セントラル「構造化データ マークアップとは」)。 大事なのは、この荷札を入れてもページの見た目は一切変わらないということ。変わるのは、機械にとっての「読みやすさ」だけです。
2026年に本当に終わったこと ── FAQのリッチリザルト
では、何が終わったのか。Google 検索セントラルの「ドキュメントの最新の更新内容」(公式の更新履歴)には、 次のように記載されています(Office Nが2026年7月19日に日本語版の原文を確認)。
- 2026年5月8日:「よくある質問のリッチリザルト機能をサポート終了しました」——理由として 「この機能は、2026年5月7日をもってGoogle検索に表示されなくなるため」と記載。
- 2026年6月15日:「よくある質問のリッチリザルト機能に関するドキュメントを削除しました」——理由として 「よくある質問のリッチリザルト機能はGoogle検索の検索結果に表示されなくなったため」と記載。
実際、Office Nが同日、FAQの構造化データについての旧ドキュメントURLへアクセスしたところ、 ページは存在せず、更新履歴のページへ転送されました。原本が削除されているという事実を、実物で確認しています。
ここで大切なのは、「何が終わったのか」を正確に押さえることです。終わったのは 「検索結果にQ&Aが並んで表示される、あの見た目(リッチリザルト)」であって、 構造化データという仕組みそのものではありません。ページ内の「よくある質問」というコンテンツが 価値を失ったわけでもありません。読者にとって役に立つQ&Aは、これまでどおり役に立ちます。
AI検索に構造化データは必要? Google公式の答え
もう1つ、多くの方が気にしているのが「AI検索(AIによる概要・AIモード)に載るために、何か特別なことが要るのでは?」という疑問です。
これについてGoogleは、2026年に公開した公式ガイド「Google 検索の生成AI機能向けにウェブサイトを最適化する」の中で、 よくある誤解として次のように書いています(日本語版原文の要旨)。
「構造化データに過度に注力する:生成AI検索に構造化データは必須ではありません。また、特別なschema.orgのマークアップを追加する必要もありません。 ただし、Google検索のリッチリザルトの対象となる助けとなるため、SEO戦略全体の一部として引き続き使用することをおすすめします。」
出典:Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」(2026年7月19日閲覧)
短い一文ですが、ここには2つのことが同時に書かれています。①AIのために特別なマークアップは要らない。 ②けれども、リッチリザルトのために引き続き使うことは推奨する。「不要」ではなく「必須ではない」——この違いが大事です。
同じガイドは、「AEO」「GEO」といった新しい呼び名についても触れています。Googleの立場は明快で、 「生成AI検索向けに最適化することは検索エクスペリエンス向けに最適化することであり、SEOの範疇にある」。 そして、コンテンツの細切れ化(チャンク化)や、llms.txt のようなAI向け特別ファイルの作成は 「Google検索では無視できる」としています。新しい言葉に振り回されず、基本を続けるのが公式の答えです。
それでも入れる価値がある、3つの理由
「必須ではない」と聞くと、やめたくなるかもしれません。それでもOffice Nが「入れておく価値はある」と考える理由を、 公式情報にもとづいて3つに整理します。
- 理由1:リッチリザルトの入口は今も広く開いている。終わったのはFAQという1つの機能で、 記事・パンくず・商品・イベント・求人・レシピ・地域ビジネスなど、Googleが対応する型は多数あり、公式ドキュメントも維持されています。 自社に当てはまる型があるなら、その入口は今も使えます。
- 理由2:Google自身が「効果の事例」を公開している。公式ドキュメントには導入事例として、 Rotten Tomatoes:構造化データのあるページのクリック率が25%増/The Food Network:アクセス数が35%増/ 楽天:滞在時間が1.5倍/Nestlé:リッチリザルトが表示されるページのクリック率が82%高いといった数字が掲載されています。 ただしこれらは大規模サイトの事例であり、同じ結果が中小企業サイトで再現される保証はありません(この点は誤解のないように)。
- 理由3:機械に「正しく理解される」土台になる。Googleは、構造化データを使って ページの内容を把握するだけでなく、人物・書籍・会社などの情報も収集すると説明しています。 社名・所在地・連絡先が機械に正確に伝わることは、検索の飾り以前に、間違って伝わらないための保険でもあります。
中小企業サイトが今も入れる価値のある3つの型
では、具体的に何から入れればよいのか。Office Nの実務上の優先順位は次の3つです(ここは見解を含みます)。
- ① Organization(組織):会社名・ロゴ・公式サイト・公式SNSなど、「うちはこの会社です」を機械に伝える基本の型。 トップページや会社概要ページに置きます。まず1つだけ入れるなら、これです。
- ② LocalBusiness(店舗・地域ビジネス):住所・電話・営業時間・地図上の位置など、 地域のお客様が探す情報を伝える型。店舗や事業所がある会社は優先度が高いと考えます。 (Googleビジネスプロフィールの情報と食い違わないよう、内容をそろえておくのが大切です。)
- ③ Article + BreadcrumbList(記事+パンくず):記事の見出し・公開日・発信者と、 サイト内のどこにある記事かを伝える型。ブログやお知らせを継続的に更新している会社向けです。
型ごとに「必須プロパティ(必ず書く項目)」が公式ドキュメントで決められています。Googleは 「必須プロパティが指定されていないアイテムは、リッチリザルトに表示されません」と明記しています。 自己流で書くのではなく、該当する型の公式ページを開いて、必須項目を埋めるのが確実です。 書いたあとはリッチリザルト テストで検証し、公開後はSearch Consoleで状態を確認します (Search Consoleの使い方はこちら)。
やってはいけない4つ(公式ガイドライン)
構造化データには「品質に関するガイドライン」があります。Googleは、これに違反すると 「構文的に正しい構造化データでもリッチリザルトとして表示されなくなったり、スパムとしてマークされたりすることがある」 と説明しています。中小企業サイトでうっかりやりがちなものを4つ挙げます。
- ✕ 読む人に見えない情報をマークアップする。公式に 「ページの読者に表示されないコンテンツをマークアップしないでください」とあります。 荷札にだけ書いて本文に出さない、はNGです。
- ✕ 荷札のためだけの空ページを作る。公式に 「構造化データを保持するためだけに空のページを作成しないでください」と明記されています。
- ✕ 内容と関係ない型でラベルを付ける。公式の例では 「木材工芸のサイトが、木材工芸の方法をレシピとしてラベル付けしている」のような使い方が “関連性が低い”とされています。
- ✕ 虚偽のクチコミ・なりすまし。実在しない評価や、他人・他社になりすます記述は禁止で、 手動による対策(ペナルティ)の対象になりうるとされています。
言い換えれば、「ページに書いてある本当のことを、正確に荷札にする」——これだけを守れば、 難しい話ではありません。逆に、順位を狙って“盛る”と、かえって危険だということです。
【考察】Office Nが、この記事で実際にやったこと
ここからは、Googleの公表内容ではなくOffice Nの見解(考察)と、実際の対応です。
正直に書きます。当メディアの記事には、これまでFAQの構造化データ(FAQPage)を入れてきました。 検索結果でQ&Aが表示されることを期待した、ごく一般的な実装です。しかし今回、公式の一次情報を確認した結果、 その表示はもう出ないことがはっきりしました。
そこでこの記事からは、FAQの構造化データを外しました(記事とパンくずの構造化データは入れています)。 一方で、下の「よくある質問」という中身そのものは残しています。理由は単純で、 Q&Aは検索の飾りのためではなく、読む人の疑問に答えるためにあるからです。 飾りが無くなったからといって、読者の疑問が消えるわけではありません。
この小さな判断に、構造化データとの付き合い方が凝縮されていると、Office Nは考えています。 つまり——構造化データは「順位を上げる裏ワザ」ではなく、「正しい情報を、機械にも正確に届けるための翻訳」。 翻訳である以上、元の中身(ページの実質)が薄ければ、意味はありません。 Googleが2026年に繰り返し発しているメッセージも、突き詰めればここに戻ってきます。 特別なファイルや新語の“ハック”ではなく、人に役立つ中身を作り、それを機械にも読めるようにしておく。
もし今、自社サイトで何から手を付けるか迷っているなら、順番はこうです。 ①会社概要と連絡先を正確に整える → ②その情報をOrganization/LocalBusinessで機械にも伝える → ③記事を続けるならArticle+パンくずを足す。 構造化データは、この②の一手間にすぎません。信頼(E-E-A-T)の土台を整えることの方が、 ずっと大きな効果を持つ——というのが、Office Nの率直な考えです。
よくある質問(FAQ)
- Google 検索セントラル「ドキュメントの最新の更新内容」(公式の更新履歴)——2026年5月8日「よくある質問のリッチリザルト機能をサポート終了しました」(2026年5月7日をもって表示されなくなる)、2026年6月15日「よくある質問のリッチリザルト機能に関するドキュメントを削除しました」の各記載。
https://developers.google.com/search/updates?hl=ja - Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」——生成AI検索に構造化データは必須ではないが、リッチリザルトの助けとなるため引き続き使用を推奨、AEO/GEOはSEOの範疇、チャンク化やllms.txtは無視できる旨。
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide?hl=ja - Google 検索セントラル「構造化データ マークアップとは」——JSON-LDの推奨、掲載されている導入事例の数値(Rotten Tomatoes・The Food Network・楽天・Nestlé)、空ページ禁止・画面に表示されない情報のマークアップ禁止。
https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/intro-structured-data?hl=ja - Google 検索セントラル「構造化データに関する一般的なガイドライン」——品質・関連性・完全性(必須プロパティが無いとリッチリザルトに表示されない)、禁止事項、リッチリザルト テストでの検証。
https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/sd-policies?hl=ja - Google 検索セントラル「ローカル ビジネス(LocalBusiness)の構造化データ」——地域ビジネス向けの型と実装手順。
https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/local-business?hl=ja
本文中の「FAQリッチリザルトの終了時期」「AI検索に構造化データは必須ではない/引き続き推奨」「AEO・GEOはSEOの範疇」「禁止事項」「必須プロパティ」および導入事例の数値は、上記のGoogle公式ドキュメントの記載にもとづきます。 導入事例の数値はGoogleが公式ドキュメントに掲載している大規模サイトの事例であり、同様の結果を保証するものではありません。 「3つの型の優先順位」「今日やることの順番」および【考察】の各所は、Office Nの実務上の整理・見解であり、検索順位やAIでの引用を保証するものではありません。 Googleの仕様・ガイドラインは改定されることがあります。最新は必ず公式のドキュメントでご確認ください。
